健康アプリは、記録、グラフ、文章生成を組み合わせると、専門的な判断をしているように見えます。しかし、見た目が整っていることと、診断や治療を行えることは別です。
更年期を含む体調変化では、原因や必要な対応をアプリだけで決めつけない境界が欠かせません。
1. 記録と診断を分ける
本人が入力した体調を保存し、期間ごとに並べることはできます。しかし、その組み合わせから病名を推測したり、「更年期です」と判定したりはしません。分からないことを、分からないまま残します。
2. 変化と治療効果を分ける
前後の記録が変わっていても、その理由が薬、生活、偶然、記録方法の違いのどれかは分かりません。改善スコアや治療効果の判定を置かず、本人と医療者が会話するときの材料に限定します。
3. 情報提供と個別助言を分ける
公的な情報源を案内することと、個人へ特定の治療や薬を勧めることは別です。一般情報であることを明記し、薬の開始、中止、変更をアプリが指示しません。
4. 受診準備と緊急判定を分ける
質問や体調の経過を整理できても、緊急性や受診の要否をアプリだけで判断することはできません。急な強い症状や安全への懸念がある場合は、記録の完成を待たず適切な相談先を利用してください。
5. 仕事相談と法的判断を分ける
業務への影響や一時的な希望を整理できても、会社の制度、対応義務、個別の法的権利をアプリが決めることはできません。必要に応じて社内窓口、産業保健スタッフ、行政窓口、専門家へ確認してください。
境界は機能の不足ではない
できない判断を、できるように見せないことは、本人の自己決定を守る機能です。アプリの結論へ従わせるのではなく、本人が情報を確かめ、必要な相手へ相談できる余地を残します。